思いをつなぐ、夢をはこぶ 北海道新幹線の開業に関わる人々の「思い」に触れるインタビュー

町民のアイデアを形に 活気ある「まち」づくり 江差観光コンベンション協会 畑 博之さん

北海道新幹線開業を契機にまちの活性化を目指す

江差発信のまちおこしを提案
北海道の南西部に位置している江差町。
明治初期までニシン漁とヒバの交易で栄え、文化発祥の地といわれています。北前船で江差追分などの伝統文化や生活文化が数多く伝承され、情緒がまちのいたるところに根付いています。
近年では、「紅ズワイガニ」が獲れる町としても知られています。紅ズワイガニは、毎年3月から8月頃まで最盛期を迎え、江差の産業の一つとしても注目されています。甘みがあり、ジューシーな肉質が感じられるのが特長です。
そして、北海道の民俗文化の礎を築いたとされているのが、「江差追分」です。現在では「民謡の王様」とも言われている「江差追分」ですが、その起源は明治30年以降にさかのぼります。
そのような歴史と文化の町としても知られる江差町で、追分商工観光課と江差観光コンベンション協会の仕事を兼任しているのが、畑博之さんです。畑さんは、生まれも育ちも江差町。江差のまちの魅力を多くの人々に発信していこうと日々頑張っています。
現在、四季を通じてさまざまなイベント事業の企画・運営に携わっているほか、特産品のPRやさまざまなイベントを行って魅力あるまちづくりに貢献してきました。畑さんはじめ、「江差の町をより良いものにしていきたい」と町の発展に努めています。
毎回参加者は平均して30名ほどが集まっている

毎回参加者は平均して30名ほどが集まっている

職種も年代の垣根もない気軽に話せる雰囲気

職種も年代の垣根もない気軽に話せる雰囲気

かもめ島に看板を設置した(江差観光コンベンション協会長、副会長・理事及び事務局、檜山振興局の産業振興部長、商工労働課長、他振興局新幹線対策室職員)

かもめ島に看板を設置した(江差観光コンベンション協会長、
副会長・理事及び事務局、檜山振興局の産業振興部長、商工労働課長、
他振興局新幹線対策室職員)

北海道新幹線開業を盛り上げるために
江差町で豊かな観光資源と共に知られているのが、JR江差線です。江差線は、函館・江差という、道内でも歴史のある地を結ぶ場所としても知られていますが、2014年5月に木古内-江差間約42km区間の廃止がすでに決まっています。
そのニュースを受けて、鉄道ファンだけでなく、廃線を惜しんで乗車をする人が増えています。
2013年に入り、江差観光コンベンション協会では、2016年3月の北海道新幹線開業を目前に、今後のまちの発展のためにできることはないか話し合っていました。
そこで、北海道新幹線がもたらす交流人口の拡大や経済効果などを受け止め、地域の観光施設や食、イベントなど、江差町が持つ豊かな資源についての掘り起こしや磨き上げを行うことが大事だと考えました。
そして、職域や地域の垣根を越えて、町民全体で気軽に意見交換できる機会を作りました。会の名称は、立ち上げ会議で参加者全員の賛成を集め、「えさし来てネット」とし、2013年4月10日に発足しました。
開通の日まで毎月1回のペースで開催し、事前にホームページや広報誌で告知活動を行いました。
会場は、町民にもなじみがあり、商店街にある町の寄り合い所「寄来所(よっこらしょ)」ほか、商工会の会議室などで行っています。会では、お酒を酌み交わしながら、ざっくばらんな雰囲気。参加者は、地元出身者が主で、公務員、商工会員、塗装屋、肉屋などバラエティ豊か。そして、毎回札幌から駆けつけているグラフィックデザイナーなど、さまざまな職種の人が参加しています。会の進行は、江差観光コンベンション協会が行っています。
会の中で話題になっているのは、「各観光施設の共通観覧券がない」「休日の観光案内所がない」など、町内にある施設の取り組みで改善したほうがいいこと。そして、町のシンボルであるかもめ島の景観・渡り鳥の話や「ぼうタラ」「寒のり」「ほっけのかまぼこ」など、江差町の名産品でもっとPRするべきことなどがあげられました。
また、開催当初から話題にのぼっていたのが、町の名所でもある「かもめ島」や「いにしえ街道」についてでした。「かもめ島」は、自然が織り成す神秘的な地形と、町内のどこからも見渡せる絶景が魅力の町のシンボル的なスポットです。
そのかもめ島については、「観光案内版もないし、どうしたら外部の人が来てくれるか」「島は登り口に親切な案内が必要」など、町のシンボル的な存在である一方、観光客にどう周知させれば良いのかが課題でした。やがて、会の中で「特製看板を設置してはどうだろうか」と意見があがり、開催4回目の後に看板を設置することが決まりました。看板の製作にあたっては、参加者でもあった町内の看板業者に依頼。ヒノキアスナロを用いた特製看板を島の入口と上部に取り付けました。
多くのアイデアを実現化へ
今回の看板の設置は、「えさし来てネット」の活動の中で出た話がはじめて実現化した形になります。これに続く斬新なアイデアが一つでも多く実現化につながることを畑さんは願っています。
「会が発足した当初から、毎回意見が活発に出ていますが、その後にどう結び付けていくかが今後の課題。もっと民間の方が参加しやすい手法を考えて、活発な意見交換の場にしたいですね」と畑さん。
また、江差線の乗り納めをする人々に対してどのようにPRすれば良いかも検討中。「廃線後も、ファンが訪れることは予測できますが、効果は長くは続かないだろう」。そして、町に降り立った人たちにどう楽しんでもらえばいいか。ゴールデンウィークの期間中、周遊バスを設置しよう、など、さまざまなアイデアを出し合っています。
「江差の人は、一見とっつきづらそうに見えて、懐に入ってしまえば、実は温かい人柄の持ち主が多いんです」と語る畑さん。地元の人だからわかること、他の町の人が見て気づくこと。客観的な視点を持った第三者が「えさし来てネット」に参加することにより、町民だけでは気づかなかった新たな発想が生まれるはずです。
北海道新幹線開業はまちを見直すための一つのきっかけに過ぎません。これから町がどう変わっていくのか、今後の活動にも注目が集まります。
江差町の観光名所としても知られる「かもめ島」灯台

江差町の観光名所としても知られる「かもめ島」灯台

ページ先頭へ戻る